★ マンションと自然災害(トイレ対策編)

マンションと自然災害(トイレ対策編)

 

(2022年4月1日現在の各種法令等に基づいて解説しています)

在宅避難の備えで忘れがちなトイレ対策

 

 在宅避難の為に飲料水や非常食を備蓄して災害に備えています。意外に見落とされがちなのが「トイレ」対策です。飲料水や非常食があっても、停電によりトイレが使えないと在宅避難生活は難しくなります。そこで今回は、「災害時のトイレ対策」についてご紹介します。

最も深刻な課題はトイレの確保

 停電や断水が起きても食事や睡眠は何とかなります。

 しかし、トイレが使えない状況では排泄する場所の確保が大きな課題になります。トイレが長期間使えないことは想像を超えるストレスになります。そればかりか、トイレの回数を減らすために水分摂取を控えたり、排泄を我慢することにより健康被害を引き起こす可能性もあります。非常用トイレを用意しておくことは、在宅避難生活にとって非常に重要なことです。最低、1週間分の非常用トイレを用意しておきましょう。

非常用トイレは2種類ある

 非常用トイレには携帯トイレと簡易トイレの2種類があります。それぞれの特徴について説明します。

携帯トイレ

 携帯トイレとは、持ち運びできるコンパクトサイズの非常用トイレです。

 小便専用の片手で使えるものや、既存のトイレ便器に広げて設置するタイプのものがあります。いずれも、1回だけの使い捨てタイプです。

消臭力の高い凝固剤が入っており使用後は汚物を固めて廃棄します。

 災害時の備えとしての目安は「5回/日×7日×家族人数」です。例えば、4人家族であれば140個が目安となります。今は100均でも、男女別や大小便用の携帯トイレが売られています。手軽に入手できるようになりました。

簡易トイレ

 介護現場でも使われている便座がついた組立式トイレです。

 これは繰り返し使用可能ですし、段ボール製の安価なものもあります。更に、目隠し用のテントがあればベランダ等に仮設トイレとして設置することができます。ただし、簡易トイレは汚物を溜めておく袋が必要です。

 そして、汚物袋はゴミの収集機能が復旧するまで自宅保管しなくてはいけません。袋の容量や強度、防臭機能は製品により違いがあります。より耐久性があり長期保存に適したタイプのものを選びましょう。袋の容量も種類がありますが、家庭の1日の排泄量は「5回/日×平均排泄量300ml×家族人数」になります。例えば、4人家族では1日6リットル程度、1週間で42リットル程度になります。衛生面や保管を考えると10~20リットル程度の袋を10枚前後用意して毎日交換したほうが良いでしょう。

他に備品を備えておくと安心なもの

 非常用のトイレ以外に、使用後の汚物袋を入れる為の密閉できるゴミ箱、中身の見えない黒いポリ袋、ゴミ収集が滞った場合に備えゴミ袋を多めにといった用意が必要です。また、断水で手が洗えない場合に備え、アルコール消毒液やアルコール成分を含むウェットティッシュがあると重宝します。水の運搬用バケツもあると便利です。

管理組合としても非常時のトイレ対策が必要

 近年はマンションとして防災対策マニュアルを策定して大規模災害への備えを行っている管理組合も増えています。多くは、共用部に「防災倉庫」を設けて大型防災備品や発電機等を用意し大規模災害に備えています。

 しかし、トイレ対策までしているところはまだまだ少ない状況です。

 例えば、敷地内のマンホールの上に簡易トイレを設置して汚物を下水道に流すことができる「テント付きマンホールトイレ」があります。

災害時のストレス対策

 このような簡易トイレがあるだけで在宅避難生活におけるトイレ問題のストレス軽減になります。防災対策マニュアルは定期的な見直しが必要です。見直しを行い災害発生時に居住者が在宅避難生活をよりスムーズに行えるように更に防災対策を充実させることも必要ではないでしょうか。

 

 

マンションの防災対策サポート:グッドプランナーズマンション管理士事務所

 

 

 

 

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