マンションでの水漏れ事故
水漏れの原因は、大別すると次の3つに分かれます。
①居住者の使用上の過失など、人為的な原因に基づく場合
②人為的でなく共用部分または専有部分の老朽化による場合
③施工上やリフォームの際など、工事業者の責任に基づく場合
マンション内で水漏れ事故が発生した場合
マンション管理組合として水漏れ事故の原因が人為的なものかどうか、水漏れの発生箇所が、「専有部分」なのか「共用部分」なのかを確認する必要があります。
水漏れの原因となった欠陥のある箇所、例えば給排水管のひび割れによる漏水の場合はその専有部分の所有者が責任を負います。共用部分であれば、原則として区分所有者全員が責任を負います。
給水管、排水管は、本管が共用部分、枝管が専有部分と解されていますが、水漏れ箇所が専有部分か共用部分かが明らかでない場合は、法律では共用部分に原因があるものと解されています。
水漏れ事故が誰かの過失が原因で発生したものなら、当然にその人が責任を負担することになります。
例えば、洗濯機からの漏水で溢れさせた場合や、窓を開けっ放したまま出掛けてしまい、そこから大量の雨が部屋の中に入り、階下に被害が出た場合など人為的な原因で発生した場合は、居住者が負うことになります。
居住者が賃借人であれば、賃借人が負い、貸主である住戸の所有者は負いません。
マンションの排水管の老朽化などが原因の場合
その原因となった欠陥部分の所有者が責任を負うことになります。共用部分に原因があった場合には、区分所有者全員で共同して責任を負うことになります。欠陥箇所である漏水部分がどこにあるのか、はっきりしていると問題ありませんが、はっきりしないケースもあります。
区分所有法では、建物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その瑕疵は共用部分にあるものと推定しています。
要するに、区分所有者全員が共同して賠償責任を負うことになります。この規定は、欠陥部分がどこにあるのか不明の場合を前提としています。
欠陥部分が明らかだけれど、それが共用部分なのか専有部分なのか不明である場合にも適用があると解されています。
水漏れの箇所がわからない場合は、管理会社を通じて専門業者に調査を依頼します。調査方法として漏水であれば、直上階の居住者に漏水の事実を確認し、漏水箇所の確認等の協力を求めることになります。この場合、管理組合や被害居住者から協力を求められた階上の居住者は、原則としてこれに協力する義務があります。
思わぬ漏水事故を防ぐため
屋上の防水・外壁の仕上げ材などは直接日光・風雨・大気汚染などの厳しい自然環境にさらされており、経年とともに劣化が進行します。
屋上と外壁は早めの定期点検を実施し、必要があれば破損が大きくなる前に適時補修することをお勧めします。
また、居住者が長期間留守にされる場合は、思わぬ漏水事故を防ぐためにも各戸の水道メーター横のバルブを閉めることを掲示板などで提案することもお勧めします。