マンションの貯水槽について
(2022年4月1日現在の法令等に基づいて解説しています)
マンションの給水設備として主流だった貯水槽方式を撤去して、直結給水方式に変更するケースが増えています。その理由について解説します。
水道水をめぐる環境が大きく変化
近年、節水機能の高い洗濯機・水洗便器の普及やペットボトル飲料・ウォーターサーバーの利用が一般的になる等の理由で水道使用量が減少しています。
水道使用量減少が貯水槽に与える影響
貯水槽方式は水道から供給された水を一旦、建物内の貯水槽に貯めてから各戸に配水しています。水道使用量が減ると以前よりも長い時間、水が貯水槽内に滞留することになります。
例えば、夏の暑い時期に長時間にわたり水が貯水槽内に留まっているわけです。
滞留時間が長くなると水中の残留塩素濃度が低下していきます。それにより、貯水槽内の衛生状態の悪化が懸念されるようになりました。
給水装置の技術進歩
現在は給水装置の技術開発が進みました。マンションでも貯水槽を使わず直接給水方式により各戸に給水できるようになりました。
直結給水方式には、配水管の圧力だけで給水する「直圧直結給水方式」。配水管の水圧の不足分を増圧ポンプで補う「増圧直結給水方式」があります。直圧方式は概ね3~5階までの低層建物向けです。増圧方式は中高層建物向けです。以前は不可能だった20階以上の高層建物でもポンプを多段階に設置することにより給水可能になりました。このように環境が整ったことで最近は直結給水方式を推奨する自治体が増えています。
直結給水方式に切り替えるには?
受水槽を撤去するため道路下に敷かれた水道本管からの引き込み管を太い配管に取り換える工事が必要になることがあります。また、水道本管の水圧などの状況により、地域によっては直結給水方式が採用できない場合もあります。このため、具体的な検討の前に水道局に相談することが必要です。
受水槽の寿命は?
受水槽の寿命は素材の違いによって異なります。目安として、FRP製(強化プラスチック)は15-20年、鉄筋コンクリート製は30-50年と言われています。
長期修繕計画の見直しの重要項目です。
分譲マンションの長期修繕計画では、築23~25年の時期に古くなった貯水槽を単純更新する計画になっていることが多いと思います。
しかし、最近は受水槽を撤去して直結給水方式への変更を検討するマンション管理組合が増えています。
衛生面でのリスクや将来の経済的負担のあり方等を踏まえた切り替えるか否かの検討を進めることが必要です。
グッドプランナーズマンション管理士事務所は、見直しをサポートしています。