マンションと自然災害(地震災害編)
(2022年4月1日現在の各種法令等に基づいて解説しています)
大規模災害への備えは「自助」の考えが基本
多くの自治体が災害時に“自分の命、安全は自分で守る”「自助」について広報するようになりました。その内容は主に、①家具の固定、②3日分以上の水・食料の備蓄、③災害用伝言サービスの体験利用、などです。
今では、多くの方が災害対策用に食品や生活品を備蓄するようになりました。普段の生活で備蓄品を消費し、補充して常に備蓄品を新しくしている人も多くなっています。
倒れてきた家具や家電等でケガをしないように固定することも大切です。また、倒れた家具や家電に避難経路が塞がれたり、地震により発生した火災で廊下が通れなくなったりする事もあります。
万が一、居室の中や廊下が通れなくなった場合には、ベランダから隣の部屋に移る方法もあります。しかし、ベランダに自転車やタイヤ等を置いてしまうと避難の妨げになります。管理組合として、共用部であるベランダ等に避難の障害になる物を置かないように周知徹底して、避難経路を確保しておくことが重要です。
大地震が起きたら
とにかく、身の安全を確保することが最優先です。
高層マンションの場合には、強い地震が起きても倒壊や崩壊しないように揺れる構造になっています。その為に、大地震の時には揺れが長くなる傾向にあります。
強く長く揺れることで家具や家電製品が倒れケガをすることがあります。地震が発生した時には、揺れが収まるまで机の下に入るなどして頭を守る事が必要です。
揺れが収まり、避難が必要になった時には火災等の二次災害を起こさないためにブレーカーを落としガスの元栓を閉めます。普段から、ブレーカーや元栓の場所と操作方法を確認しておきましょう。
マンションは「共助」も必要
自治体の防災計画は基本的に戸建の住民対策が中心になっています。
なかには、避難所にマンションの居住者を受け入れる余裕が無い地域もあります。大規模災害が発生し市町村や消防などの「公助」が届くまでは、住民同士が助け合う「共助」が重要になります。その為に、管理組合が自主防災組織を立ち上げ、災害時に共助が機能するように、実情に沿った災害対策を計画することが必要です。
まず、居住者名簿を作成する
防災マニュアルを作成する為にも、居住者名簿を作成して避難の際に介助が必要な方を把握することが必要です。また併せて、介助をしてくれる援護者の確認や設定も重要です。そうすることで、避難救出活動を行う際にスムーズな行動を取ることができます。
防災マニュアルを作成する
マンションの居住者全員が協力・連携して行動するためには、それぞれのマンションの現状にあった「指針」や「ルール」が必要です。まだ防災マニュアルが無いという組合は、理事会メンバーや専門委員会を設置する等してマニュアルを作成しましょう。
災害用品を備える
災害時に備えて管理組合で災害用備品を準備しているケースも増えています。
しかし、各家庭で備えた方が良い物、管理組合で備えた方が良い物があると思います。非常食や飲料水は各家庭で備えていただくように啓蒙し、管理組合ではヘルメット・救助用具・非常用トイレ・拡声器・発電機・投光器を準備する等の割り振りが必要ではないでしょうか。
定期的な防災訓練を行う
いざという時に「介助の必要な人が避難できない」「消火器・消火栓の使い方がわからない」とならないように、理事会役員と防災管理者が中心となり居住者の定期的な防災訓練を実施しましょう。訓練をしておくことで、被災時の迅速な対応や復旧に役立つと共に、居住者の防災意識向上につながります。
災害時に共助し合えるマンションづくり
災害発生時にはマンションの居住者として行うべき行動を自らが判断し、居住者全員で協力・連携して活動することが重要です。防災マニュアルがしっかりと機能するためには、管理組合として定期的な見直し、そして活動の継続がカギになります。
グッドプランナーズマンション管理士事務所は、マンション管理組合の災害対策をサポートしています。